虫刺されによる水ぶくれと一括りに言っても、その原因となる虫の種類によって、症状の現れ方や対処法は少しずつ異なります。憎き「犯人」の正体を知ることは、効果的な予防と対策に繋がります。水ぶくれを引き起こしやすい代表的な虫とその特徴を見ていきましょう。まず、高原や渓流など、自然豊かな場所に多いのが「ブヨ(ブユ)」です。彼らは皮膚を刺すのではなく、噛み切るようにして吸血するため、刺された直後よりも、数時間から翌日にかけて激しい痒みと大きな腫れ、そして硬いしこりや水ぶくれが現れるのが特徴です。特に足元を狙われやすいため、アウトドアでは足首まで覆う靴や厚手の靴下が必須です。次に、非常に小さく、網戸さえ通り抜けてしまう「ヌカカ」。あまりの小ささに気づかれにくく、気がつくと多数の箇所を刺されていることが多い厄介な相手です。チクチクとした痛みと共に、細かい赤い発疹や水ぶくれが広範囲に出ることがあります。そして、直接触れなくても被害に遭うのが「毛虫(ドクガ類)」です。チャドクガなどの毒針毛が風に乗って飛んできたり、干しておいた洗濯物に付着したりして皮膚に触れると、広範囲にわたって赤いブツブツとした発疹と、小さな水ぶくれが生じます。この場合は、掻かずに粘着テープなどで毒針毛をそっと取り除く初期対応が重要です。これらの虫の活動時期や生息場所を知り、それぞれの特徴に合わせた服装や虫除け対策を講じることで、辛い水ぶくれ被害のリスクを大きく減らすことができるのです。