あれは忘れもしない、大学時代の夏合宿での出来事でした。私たちは、豊かな自然に囲まれた研修施設で数日間を過ごしていました。夜は部屋の窓を開けて涼むことも多く、網戸はありましたが、小さな虫が入ってくるのは日常茶飯事でした。合宿3日目の夜、部屋で課題に取り組んでいると、首筋に何かが止まったような感覚がありました。特に気にも留めず、無意識に手でパッと払いのけたのです。その時は何も感じませんでしたが、翌朝、鏡を見て愕然としました。首筋に、まるでミミズ腫れのような、赤く細長い線状の発疹ができていたのです。最初は原因が分からず、何かにかぶれたのかと思っていました。しかし、時間が経つにつれて、その発疹は猛烈な痛みと痒みを伴うようになり、水ぶくれまでできてきました。まるで火傷をしたような状態です。慌てて施設の管理人に相談すると、「ああ、それはやけど虫にやられたのかもしれないね。この辺りには時々出るんだよ」と言われました。やけど虫?初めて聞く名前でした。管理人さんによると、小さな虫の体液に触れると、火傷のような皮膚炎を起こすとのこと。昨夜、首筋を払ったあの瞬間に、虫を潰して体液がついてしまったのだと直感しました。すぐに近くの皮膚科を受診しました。医師の診断もやはり「線状皮膚炎」、いわゆるやけど虫皮膚炎でした。ステロイド軟膏を処方され、ガーゼで保護することになりました。しかし、痛みと痒みは数日間続き、夜も眠れないほどでした。水ぶくれが破れた跡は、色素沈着を起こし、しばらくの間、首筋に薄黒い線が残ってしまいました。あの時の激しい痛みと不快感は、今でも鮮明に覚えています。たった数ミリの小さな虫が、これほどの苦痛をもたらすとは思いもしませんでした。この経験以来、私は夏場に虫が肌にとまっても、決して手で直接払わず、息で吹き飛ばすか、ティッシュなどを使ってそっと取り除くようにしています。そして、網戸のない場所では窓を開けっ放しにしない、洗濯物の取り込み時には虫がついていないかよく確認するなど、自衛策を徹底するようになりました。皆さんも、やけど虫にはくれぐれもご注意ください。あの痛みは、本当に辛いものですから。
やけど虫被害私の激痛体験談