家にキクイムシがいるかもしれない…そう疑うきっかけとして最も分かりやすいのは、やはり床や家具の下に落ちている細かな「木くず(フラス)」でしょう。でも、実は木くず以外にも、キクイムシの被害を示すサインはいくつかあります。これらのサインに気づくことができれば、より早期に被害を発見し、対策を講じることが可能になります。まず注目したいのは、木材表面に開いた「小さな穴」です。これはキクイムシの成虫が木材内部から脱出した跡で、「虫孔(ちゅうこう)」と呼ばれます。直径は1~2ミリ程度で、まるで針で刺したような、あるいはシャープペンシルの芯で突いたような大きさです。フローリングや柱、家具などの木材表面に、このような小さな穴が複数見つかったら、キクイムシの被害を疑うべきでしょう。木くずが出ていなくても、これらの穴が存在するだけで、過去にキクイムシが活動していた、あるいは現在も内部に潜んでいる可能性があります。次に、夜間や静かな時に、壁や家具の中から「カリカリ」「カサカサ」といった微かな音が聞こえる場合も要注意です。これは、木材内部でキクイムシの幼虫が木材をかじり進む音である可能性があります。特に被害が進行している場合や、静かな環境では、このような食害音が聞こえることがあります。ただし、他の原因(家鳴りなど)も考えられるため、他のサインと合わせて判断することが重要です。さらに、数は少ないですが、キクイムシの「成虫」そのものを発見することもあります。ヒラタキクイムシ類は体長3~8ミリ程度の赤褐色から黒褐色の細長い甲虫です。春から夏にかけて、成虫が木材から脱出してくる時期には、窓際や照明の周りなどで見かけることがあるかもしれません。もし家の中でこのような特徴を持つ小さな甲虫を見かけたら、捕獲して専門家に見てもらうと、種類の特定や被害状況の判断に役立ちます。これらのサインは、単独で見られることもあれば、複数同時に現れることもあります。木くずだけでなく、小さな穴、微かな音、そして成虫の姿にも注意を払い、総合的に判断することが、キクイムシ被害の早期発見と適切な対処につながるのです。
木くずだけじゃないキクイムシ被害のサイン