それは、ある日のことでした。いつものようにキッチンで料理をしていると、床の隅に小さな茶色い点が動いているのに気づきました。最初はパンくずか何かかと思ったのですが、よく見るとそれは虫でした。体長は3ミリくらい、丸っこくて、茶色い甲羅のようなものを持っています。「なんだろう、この虫…」。あまり気分の良いものではありませんでしたが、とりあえずティッシュで捕まえて捨てました。しかし、その翌日、また同じような虫をキッチンで見つけました。そして、その次の日も…。しかも、一匹だけでなく、数匹見かけるようになってきたのです。さすがにこれはおかしいと思い、発生源を探すことにしました。虫がよく現れるのは、どうやら食品庫の近くのようです。恐る恐る食品庫の扉を開け、中を点検してみました。すると、棚の奥に置いてあった、開封済みの小麦粉の袋の周りに、あの茶色い虫が複数匹うごめいているのを発見!さらに、袋には小さな穴がいくつか開いていました。「ここが発生源だったのか!」原因が分かったものの、全身に鳥肌が立つような嫌悪感に襲われました。すぐにその小麦粉の袋を厳重に密閉して廃棄。そして、食品庫の中身を全て出し、棚を徹底的に掃除しました。掃除機で粉や虫を吸い取り、アルコールスプレーで拭き上げました。他の食品も全てチェックし、少しでも怪しいものは処分し、残りは密閉容器に移し替えました。インターネットで調べると、その虫は「シバンムシ」という害虫で、乾燥食品を好み、家庭内で繁殖することがあると分かりました。一度発生すると駆除が大変だという情報も。その後、しばらくはキッチンに立つたびに床や壁を神経質にチェックする日々が続きました。幸い、徹底的な駆除と食品管理の見直しが功を奏したのか、あれ以来、あの茶色い訪問者の姿を見ることはなくなりました。しかし、あの時の恐怖と不快感は忘れられません。たかが小さな虫と侮るなかれ。食品の管理がいかに大切かを身をもって知った出来事でした。
キッチンに現れた茶色い訪問者の恐怖