イエシバンムシの被害というと、まず食品への混入を思い浮かべますが、実は「畳」も彼らの重要な発生源となり得ます。畳の内部にある藁(わら)を幼虫が食べて成長するため、気づかないうちに畳の中で繁殖し、成虫が畳の表面に出てきて初めて被害に気づく、というケースも少なくありません。ここでは、畳に発生してしまったシバンムシの駆除方法について解説します。まず、日常的な対策として最も重要なのは「掃除機がけ」です。畳の目に沿って、ゆっくりと丁寧に掃除機をかけることで、畳の表面や隙間にいる成虫、卵、フンなどを除去することができます。特に、畳の縁や家具の下など、ホコリが溜まりやすい場所は念入りに行いましょう。週に数回、定期的に行うことが理想です。次に、「換気と除湿」です。シバンムシは湿気の多い環境を好むため、畳の部屋はこまめに換気を行い、湿度を下げるようにしましょう。晴れた日には窓を開けて風を通し、梅雨時などは除湿器を活用するのも効果的です。これらの日常的な対策で発生が収まらない場合や、すでに多数の虫孔(成虫が脱出した穴)が見られる場合は、より積極的な駆除が必要になります。一つの方法として、「畳用殺虫剤の使用」があります。市販されている畳専用の殺虫剤には、畳に針を刺して内部に薬剤を注入するタイプがあります。これにより、畳内部に潜む幼虫に直接薬剤を届けることができます。使用する際は、説明書をよく読み、適切な箇所に必要な量を注入しましょう。部屋全体に薬剤を行き渡らせる「くん煙・くん蒸タイプ」の殺虫剤も、畳表面や部屋の中にいる成虫には効果がありますが、畳内部の幼虫への効果は限定的と考えられます。より確実な駆除方法として、「加熱乾燥処理」があります。これは、専門業者に依頼し、畳を専用の機械に入れて高温で加熱乾燥させる方法です。高温により、畳内部のシバンムシの卵、幼虫、蛹、成虫を死滅させることができます。薬剤を使用しないため、安全性も高い方法です。ただし、費用がかかること、畳を一時的に運び出す必要があることがデメリットです。最終的な手段として、「畳替え」も考えられます。被害が深刻な場合や、畳自体が古くなっている場合は、新しい畳に交換するのが最も確実な解決策です。畳を新しくする際には、畳の下に防虫シートを敷くなどの予防策を併せて行うと、再発防止に効果的です。畳のシバンムシ駆除は根気が必要です。
食品だけじゃない畳のシバンムシ駆除法