ガーデニングや家庭菜園を楽しんでいる方にとって、「ハダニ」は非常に厄介な害虫の一つです。植物の葉裏などに寄生し、汁を吸って植物を弱らせてしまいます。このハダニの中には、赤みを帯びた種類も存在するため、時に「赤蜘蛛」と呼ばれるタカラダニと混同されることがあります。しかし、ハダニとタカラダニは全く異なる生態を持ち、対策方法も異なります。ここでは、植物に被害を与えるハダニと、主にコンクリートなどで見られるタカラダニとの違いについて解説します。まず、生息場所が大きく異なります。タカラダニは前述の通り、主にコンクリートやブロック塀、岩場などの無機質な表面で活動し、花粉などを食べていると考えられています。一方、ハダニは生きた植物に寄生し、その葉や茎から汁を吸って生活しています。植物の葉の裏側を注意深く観察すると、非常に小さな点(0.5ミリメートル程度)のようなハダニが見つかることがあります。大量に発生すると、葉にクモの巣のような細い糸を張ることもあります。次に、見た目の特徴です。タカラダニは体長1ミリメートル程度で、鮮やかな赤色をしています。ハダニも非常に小さいですが、色は種類によって様々で、赤っぽいもの(ナミハダニの赤色型など)、淡黄色、黄緑色、褐色などがあります。体型も、タカラダニがやや丸みを帯びているのに対し、ハダニはもう少し卵形に近い形をしています。最も重要な違いは、植物への影響です。タカラダニは植物に直接的な害を与えることはありません。しかし、ハダニは植物の汁を吸うため、被害を受けた葉は、葉緑素が抜けて白っぽいカスリ状になったり、黄変したり、ひどい場合には枯れて落葉したりします。植物の生育が悪くなり、収穫量や観賞価値が著しく低下する原因となります。対策方法も異なります。タカラダニに対しては水で洗い流すのが効果的ですが、ハダニに対しては、単に水をかけるだけでは駆除は難しいです。ハダニは乾燥を好むため、定期的に葉の裏にも水をかける(葉水)ことは予防にはなりますが、発生してしまった場合は、牛乳を薄めたスプレーや、専用の殺ダニ剤(殺虫剤とは異なる場合がある)を使用する必要があります。このように、見た目が似ていることがあっても、タカラダニとハダニは全く別の生き物です。もし植物に赤い小さな虫がついていたら、それはハダニの可能性が高いと考え、適切な対策を講じることが大切です。
植物の大敵ハダニと赤蜘蛛の違い