ゴキブリ。その名前を聞くだけで、あるいは姿を想像するだけで、心臓が締め付けられるような恐怖を感じる方は少なくないでしょう。何を隠そう、私自身が長年、重度のゴキブリ恐怖症、いわゆる「G怖」に悩まされてきました。彼らが現れた瞬間のパニックは、経験したことのない方には想像もつかないかもしれません。視界に入った瞬間、全身が硬直し、呼吸は浅く速くなり、時には立っていられなくなるほどのめまいを感じることもありました。逃げ出すことしか考えられず、その場にいる家族や友人に駆除を丸投げし、後で自己嫌悪に陥る、そんなことの繰り返しでした。しかし、ある出来事をきっかけに、私はこの恐怖と向き合い、少しずつ乗り越える努力を始めました。それは、一人暮らしの部屋で、真夜中に特大サイズのゴキブリと対峙してしまった時のことです。助けを呼べる相手もおらず、殺虫剤を構える手は震え、涙が止まりませんでした。その時、ふと思ったのです。「このままではいけない。この恐怖に一生支配され続けるわけにはいかない」と。そこから私の試行錯誤が始まりました。まずは、ゴキブリについて徹底的に調べることから始めました。彼らの生態、習性、弱点などを知ることで、未知の存在に対する漠然とした恐怖が、少しずつ具体的な対象への理解に変わっていきました。次に、遭遇した際のシミュレーションを頭の中で繰り返しました。どこに殺虫剤を置くか、どう動くか、どうやって後始末をするか。具体的な手順をイメージすることで、いざという時のパニックを抑える訓練をしました。そして、小さなことから成功体験を積むことを意識しました。例えば、死骸を自分で処理できた、小さなゴキブリなら追い払えた、など。どんなに小さな一歩でも、自分を褒めるようにしました。もちろん、今でもゴキブリが好きになったわけではありませんし、遭遇すればドキッとします。しかし、以前のように完全に思考停止するほどのパニックには陥らなくなりました。恐怖心をゼロにすることは難しいかもしれません。でも、恐怖とどう付き合い、どうコントロールしていくかを学ぶことはできるのです。もし同じように悩んでいる方がいたら、焦らず、少しずつでも前に進もうとすることが大切だと伝えたいです。あなたは一人ではありません。
ゴキブリ恐怖症私がパニック乗り越えた話