「赤蜘蛛」という言葉を聞くと、その鮮やかな色や「蜘蛛」という名称から、毒を持っている危険な生き物ではないかと不安に感じる方もいるかもしれません。特に、近年ニュースなどで耳にする機会が増えた「セアカゴケグモ」のような毒グモのイメージと重なり、警戒心を抱くのも無理はありません。しかし、一般的に「赤蜘蛛」と呼ばれている虫の正体であるタカラダニやハダニは、セアカゴケグモのような強い毒を持つ危険なクモとは全く異なる存在です。まず、タカラダニについてですが、これはダニ目カベアナタカラダニ科に属するダニの一種です。クモ(クモ目)とは分類学上、異なるグループに属します。タカラダニは、人間を含む哺乳類を積極的に攻撃したり、吸血したりすることはありません。彼らの口器は、人体の皮膚を貫通して害を与えるような構造にはなっておらず、毒腺も持っていません。したがって、タカラダニに咬まれたり刺されたりして、毒による健康被害を受ける心配は基本的にありません。ただし、前述の通り、潰すと赤い体液が出てシミになることや、ごく稀に体液に触れることでアレルギー反応を起こす可能性は指摘されていますが、生命に関わるような危険性はありません。次に、植物に寄生するハダニ類ですが、こちらもダニ目ハダニ科に属するダニの仲間です。ハダニは植物の汁を吸う害虫であり、人間を刺したり咬んだりすることはありません。毒性もなく、人体への直接的な害はありません。ただし、ハダニが大量発生した植物に触れることで、人によっては痒みなどを感じることがあるかもしれませんが、これは毒によるものではなく、物理的な刺激やアレルギー反応によるものと考えられます。一方で、注意が必要な毒グモであるセアカゴケグモは、ヒメグモ科に属する本物のクモです。メスは体長1センチメートル程度で、黒い体に特徴的な赤い模様がありますが、タカラダニのような全身真っ赤ではありません。セアカゴケグモは神経毒を持っており、咬まれると激しい痛みや腫れ、場合によっては全身症状を引き起こす可能性があります。生息場所も、側溝の蓋の裏やベンチの下など、タカラダニやハダニとは異なります。このように、「赤蜘蛛」という言葉から連想されるイメージとは異なり、タカラダニやハダニは、毒グモのような危険性を持つ生き物ではありません。
赤蜘蛛は危険な毒蜘蛛ではない理由