それは忘れもしない、去年の夏の出来事でした。キッチン棚の奥にしまっておいた乾麺のストックを使おうと取り出した瞬間、袋の中にうごめく小さな茶色い虫の大群を発見したのです。「ひぃっ!」思わず声を上げて袋を落としそうになりました。体長数ミリの丸っこい虫、インターネットで慌てて調べると「シバンムシ」という名前が出てきました。乾燥食品が大好物で、家の中で大発生することがある、と。まさに我が家がその状況でした。ショックを受けている暇はありません。これは徹底的に駆除しなければ、と覚悟を決めました。まず、問題の乾麺はもちろん、同じ棚にあった他の乾物(パスタ、小麦粉、パン粉、干し椎茸など)も全てチェック。すると、恐れていた通り、いくつかの食品に同様の虫が発生していました。泣く泣く、それらの食品を全てビニール袋に厳重に入れ、廃棄しました。かなりの量だったので、もったいない気持ちでいっぱいでしたが、仕方ありません。次に、食品がなくなって空になった棚の徹底清掃です。まずは掃除機で棚の隅々、特に溝や角を入念に吸い取りました。小さな虫や卵が残っていては意味がないと思ったからです。その後、アルコール除菌スプレーを吹き付けたキッチンペーパーで、棚全体を何度も拭き上げました。これで大丈夫だろうか、という不安はありましたが、やれるだけのことはやろうと。さらに、念には念を入れて、キッチン全体にくん煙タイプの殺虫剤を使用することにしました。食器棚や食品庫を開け放ち、説明書通りにセットして数時間待機。使用後はしっかりと換気し、食器類も全て洗い直しました。これでようやく駆除作業は一段落。しかし、本当の戦いはこれからでした。シバンムシが再び発生しないように、予防策を徹底することにしたのです。まず、食品の保存方法を見直しました。乾物や粉物は、購入時の袋のままではなく、全て密閉性の高いガラス瓶やプラスチック容器に移し替えました。そして、長期間保存しないように、こまめに使い切ることを意識しました。キッチン周りの掃除も以前より念入りに行うようになりました。幸い、これらの努力が実を結んだのか、今のところシバンムシの再発は確認されていません。あの時の恐怖と駆除の手間を思えば、日々の予防がいかに大切かを痛感します。小さな虫ですが、その被害と駆除の大変さは決して小さくありませんでした。
乾麺から大量発生シバンムシ駆除の一部始終